学徒勤労令(昭和19年勅令第518号)      [口語訳]

第一条 国家総動員法第五条ノ規定ニ基ク学徒(国民学校初等科及之ニ準ズベキモノノ児童並ニ青年学校ノ生徒ヲ除ク)ノ勤労協力及之ニ関連スル教職員ノ勤労協力(以下学徒勤労ト総称ス)ニ関スル命令並ニ同法第六条ノ規定ニ基ク学徒勤労ヲ為ス者ノ使用又ハ従業条件ニ関スル命令ニシテ学徒勤労ヲ受クル者ニ対スルモノニ付テハ当分ノ内本令ノ定ムル所ニ依ル

第ニ条 学徒勤労ハ教職員及学徒ヲ以テスル隊組織(以下学校報国隊ト称ス)ニ依ルモノトス但シ命令ヲ以テ定ムル特別ノ場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ学校報国隊ニ依ラザルコトヲ得

第三条 学徒勤労ニ当リテハ勤労即教育タラシムル様力ムルモノトス

第四条 学徒勤労ハ国、地方公共団体又ハ厚生大臣若ハ地方長官(東京都ニ在リテハ警視総監)ノ指定スル者ノ行フ命令ヲ以テ定ムル総動員業務ニ付之ヲ為サシムルモノトス

第五条 引続キ学徒勤労ヲ為サシムル期間ハ一年以内トス

第六条 学校報国隊ニ依ル学徒勤労ニ付其ノ出動ヲ求メントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ文部大臣又ハ地方長官ニ之ヲ請求又ハ申請スベシ学校ノ校地、校舎、設備等ヲ利用シテ為ス学校報国隊ニ依ル学徒勤労ニ付亦同ジ

第七条 前条ノ規定ニ依ル請求又ハ申請ハ厚生大臣又ハ地方長官(東京都ニ在リテハ警視総監)ガ割当テタル人員ノ範囲内ニ於テ之ヲ為スモノトス但シ命令ヲ以テ定ムル特別ノ場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラズ

第八条 文部大臣又ハ地方長官第六条ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタルトキハ特別ノ事情アル場合ヲ除クノ外学校長ニ対シ学徒勤労ヲ受クベキ者、作業ノ種類、学徒勤労ヲ為スベキ場所及期間並ニ所要人員数其ノ他必要ナル事項ヲ指定シテ学校報国隊ノ出動ニ関シ必要ナル措置ヲ命ズルモノトス

第九条 前条ノ措置ヲ命ゼラレタル学校長ハ命令ノ定ムル所ニ依リ学校報国隊ニ依ル学徒勤労ヲ為スベキ者ヲ選定シ其ノ選定アリタル旨ヲ本人ニ通知シ学徒勤労ニ関シ必要ナル事項ヲ指示スベシ

第十条 命令ヲ以テ定ムル特別ノ場合ニ於テハ第六条ノ規定ニ依ル請求又ハ申請ハ之ヲ当該学校長ニ為スモノトス
2 前項ノ場合ニ於テ学校長ハ特別ノ事情アル場合ヲ除クノ外直ニ前条ニ規定スル措置ヲ為スモノトス

第十一条 前二条ノ規定ニ依ル通知ヲ受ケタル者ハ同条ノ規定ニ依ル指示ニ従ヒ学校報国隊ニ依ル学徒勤労ヲ為スベシ

第十二条 文部大臣又ハ地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依リ特別ノ事情アル場合ニ於テハ学校報国隊ニ依ル学徒勤労ノ全部又ハ一部ノ停止ニ関シ必要ナル措置ヲ為スコトヲ得

第十三条 隊長タル学校長又ハ教職員ハ当該学校報国隊ノ隊員ノ学徒勤労ニ関シ其ノ隊員ヲ指揮監督ス

第十四条 文部大臣又ハ地方長官ハ学徒勤労ヲ受クル工場、事業場等ノ職員ニ対シ学徒勤労ノ指導ニ関スル事務ヲ嘱託スルコトヲ得

第十五条 学徒勤労ニ要スル経費ハ命令ノ定ムル所ニ依リ特別ノ事情アル場合ヲ除クノ外学徒勤労ヲ受クル者之ヲ負担スルモノトス

第十六条 厚生大臣(軍需省所管企業ニ於ケル勤労管理及給与ニ関スル事項ニ付テハ軍需大臣)及文部大臣又ハ地方長官(東京都ニ在リテハ警視総監ヲ含ム)必要アリト認ムルトキハ国家総動員法第六条ノ規定ニ基キ学徒勤労ヲ受クル事業主ニ対シ学徒勤労ヲ為ス者ノ使用又ハ従業条件ニ関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
2 学徒勤労ヲ為ス者ガ業務上負傷シ、疾病ニ罹リ又ハ死亡シタル場合ニ於ケル本人又ハ其ノ遣族ノ扶助ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム

第十七条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ学徒勤労ヲ為サシメザルモノトス但シ学徒勤労ヲ為ス者ニシテ第三号ニ該当スルニ至リタルモノハ此ノ限ニ在ラズ
一 陸海軍軍人ニシテ現役中ノモノ(未ダ入営セザル者ヲ除ク)及召集中ノモノ(召集中ノ身分取扱ヲ受クル者ヲ含ム)
二 徴用中ノ者
三 陸軍大臣若ハ海軍大臣ノ所管ニ属スル官衙(部隊及学校ヲ含ム)又ハ厚生大臣ノ指定スル工場、事業場其ノ他ノ場所ニ於テ軍事上必要ナル総動員業務ニ従事スル者
四 法令ニ依リ拘禁中ノ者

第十八条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ志願ニ依ル場合ヲ除クノ外学徒勤労ヲ為サシメザルモノトス
一 厚生大臣ノ指定スル総動員業務ニ従事スル者
二 其ノ他厚生大臣ノ指定スル者

第十九条 文部大臣又ハ地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依リ学徒勤労ニ関シ学校長又ハ学徒勤労ヲ為ス者若ハ学徒勤労ヲ受クル事業主ヲ監督ス

第二十条 第六条乃至第十二条ノ規定ハ学校報国隊ニ依ラズシテ為ス学徒勤労ニ之ヲ準用ス

第二十一条 第十六条及第十九条ノ規定ハ事業主タル国及都道府県ニ之ヲ適用セズ

第二十二条 本令ニ於テ学徒ト称スルハ文部大臣ノ所轄ニ属スル学校ノ学徒ヲ謂ヒ学校ト称スルハ第十七条第三号ノ場合ヲ除クノ外文部大臣ノ所轄ニ属スル学校ノ長ヲ謂フ

第二十三条 前条ノ規定ハ朝鮮及台湾ニハ之ヲ適用セズ
2 第六条、第八条、第十二条及第十四条ノ中文部大臣トアルハ朝鮮ニ在ル学校ノ学徒ニ関シテハ朝鮮総督、台湾ニ在ル学校ニ関シテハ台湾総督トシ地方長官トアルハ朝鮮ニ在ル学校ノ学徒ニ関シテハ道知事、台湾ニ在ル学校ノ学徒ニ関シテハ州知事又ハ庁長トス
3 前項ノ場合ヲ除クノ外本令中厚生大臣トアリ又ハ文部大臣トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮総督、台湾ニ在リテハ台湾総督トシ地方長官トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事、台湾ニ在リテハ州知事又ハ庁長トス
4 本令中都道府県トアルハ朝鮮ニ在リテハ道、台湾ニ在リテハ州又ハ庁トス

第二十四条 学徒勤労ニハ国民勤労報国協力令ハ之ヲ適用セズ

第二十五条 本令ニ規定スルモノノ外学徒勤労ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム

附 則
1 本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
2 本令施行ノ際現ニ国民勤労報国協力令ニ依リテ為ス学校在学者ノ国民勤労報国隊ニ依ル協力ハ之ヲ本令ニ依ル学徒勤労ト看做ス


学徒勤労令(昭和19年勅令第518号)   [口語訳]

第1条 国家総動員法第5条の規定によって学徒(国民学校初等科及びそれに準ずる児童や青年学校生徒を除く)の勤労協力およびこれに関連する教職員の勤労協力(以下学徒勤労と言う)に関する命令ならびに同法第6条の規定に基づく学徒勤労を行う者の使用または従業条件に関する命令にして学徒勤労を受ける者については当分の間、本令が定めるものによる。

第2条 学徒勤労は、教職員および学徒をもってする隊組織(以下学校報国隊と呼ぶ)によるものとする。ただし、命令をもって定める特別な場合には、その命令の定めるところによって行い学校報国隊によることはない。

第3条 学徒勤労にあたっては、勤労即教育となるように努めるものとする。

第4条 学徒勤労は、国、地方公共団体または厚生大臣もしくは地方長官(東京都では警視総監)の指定する者が行う命令で定めた総動員業務について行うものとする。

第5条 引続き学徒勤労をさせようとする期間は一年以内とする。

第6条 学校報国隊による学徒勤労の出動を求めようとする者は、命令の定める所によって文部大臣または地方長官にこれを請求または申請しなければならない。学校の校地、校舎、設備等を利用して行う学校報国隊による学徒勤労についてもまた同様である。

第7条 前条の規定による請求または申請は、厚生大臣または地方長官(東京都では警視総監)が割り当てる人員の範囲内においてこれを行うものとする。ただし、命令をもって定める特別の場合にはこの限りではない。

第8条 文部大臣または地方長官は、第6条の規定による請求または申請があった時は、特別の事情がある場合を除いて学校長に学徒勤労を受けなけれならない者、作業の種類、学徒勤労を行うべき場所および期間ならびに所要人員数、その他必要な事項を指定して学校報国隊の出動に関して必要な措置を命じなければならない。

第9条 前条の措置を命じられた学校長は、命令の定める所によって学校報国隊による学徒勤労を行うべき者を選定し、その選定があったことを本人に通知し、学徒勤労に関し必要な事項を指示しなければならない。

第10条 命令をもって定めた特別な場合においては第6条の規定による請求または申請はこれを当該学校長に行うものとする。
2 前項の場合においては学校長は、特別の事情がある場合を除いて直ちに前条の規定する措置を行うものとする。

第11条 前2条の規定による通知を受けた者は同条の規定による指示に従い、学校報国隊による学徒勤労を行わなければならない。

第12条 文部大臣または地方長官は命令の定める所によって特別の事情がある場合においては学校報国隊による学徒勤労の全部または一部の停止に関して必要な措置を行うことができる。

第13条 隊長たる学校長または教職員は、当該学校報国隊の隊員の学徒勤労に関してその隊員を指揮監督する。

第14条 文部大臣または地方長官は、学徒勤労を受ける工場、事業場等の職員に対して学徒勤労の指導に関する事務を嘱託することができる。

第15条 学徒勤労に要する経費は命令の定めるところによって特別の事情ある場合を除いて学徒勤労を受ける者がこれを負担するものとする。

第16条 厚生大臣(軍需省所管企業における勤労管理及び給与に関する事項については軍需大臣)および文部大臣または地方長官(東京都では警視総監を含む)は、必要があると認める時は、国家総動員法第6条の規定に基づいて学徒勤労を受ける事業主に対して学徒勤労を行う者の使用または従業条件に関して必要な命令を行うことができる。

第17条 左の各号の一つに該当する者は、学徒勤労を行わせない者とする。ただし、学徒勤労を行う者で第3号に該当する者はこの限りではない。
一 陸軍軍人にして現役中の者(まだ入営していない者を除く)及び召集中の者(召集中の身分取扱いを受けた者を含む)
二 徴用中の者
三 陸軍大臣もしくは海軍大臣の所管に属する役所(部隊及び学校を含む)または厚生大臣の指定する工場、事業場、その他の場所において軍事上必要な総動員業務に従事する者
四 法令によって拘禁中の者

第18条 左の各号の一つに該当する者は志願による場合を除いて学徒勤労を行わせない者とする。
一 厚生大臣の指定する総動員業務に従事する者
二 その他厚生大臣の指定する者

第19条 文部大臣または地方長官は、命令の定める所によって学徒勤労に関して学校長または学徒勤労を行う者もしくは学徒勤労を受ける事業主を監督する。

第20条 第6条および第12条の規定は、学校報国隊によらない学徒勤労にもこれを準用する。

第21条 第16条および第19条の規定は、事業主である国及び都道府県には適用しない。

第22条 本令において学徒とは、文部大臣の所管に属する学校の学徒を言い、学校とは、第17条第3号の場合を除いて文部大臣の所管に属する学校の長を言う。

第23条 前条の規定は、朝鮮及び台湾にはこれを適用しない。
2 第6条、第8条、第12条および第14条の中文部大臣とあるのは、朝鮮にある学校の学徒に関しては朝鮮総督、台湾にある学校に関しては台湾総督とし、地方長官とあるのは朝鮮にある学校の学徒に関しては道知事、台湾にある学校の学徒に関しては州知事または庁長とする。
3 前項の場合を除いて本令中厚生大臣とありまたは文部大臣とあるのは、朝鮮では朝鮮総督、台湾では台湾総督とし、地方長官とあるのは朝鮮では道知事、台湾では州知事または庁長とする。
4 本令中都道府県とあるのは、朝鮮では道、台湾では州または庁とする。

第24条 学徒勤労には、国民勤労報国協力令はこれを適用しない。
第25条 本令に規定するものの他学徒勤労に関して必要な事項は命令をもって定める。

付則
1 本令は公布の日よりこれを施行する。
2 本令施行の際現に国民勤労報国協力令によって行う学校在学者の国民勤労報国隊による協力はこれを本令による学徒勤労と見なす。

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