決戦非常措置要綱(昭和19年2月25日 閣議決定) [口語訳]

※これは、同年1月25日に閣議決定された「決戦非常措置要綱」に基づいて国民向けに出されたものです。

決戦ノ現段階ニ即応シ国民即戦士ノ覚悟ニ徹シ国ヲ挙ゲテ精進刻苦其ノ総力ヲ直接戦力増強ノ一点ニ集中シ当面ノ各緊要施策ノ急速徹底ヲ図ルノ外先ツ左ノ非常措置ヲ講ズ
一、学徒動員体制ノ徹底
(1)原則トシテ中等学校程度以上ノ学生生徒ハ総テ今後一年、常時之ヲ勤労其ノ他非常任務ニ出動セシメ得ル組織的態勢ニ置キ必要ニ応ジ随時活発ナル動員ヲ実施ス
(2)理科系ノモノハ其ノ専門ニ応ジ概ネ之ヲ軍関係工場病院等ノ職場ニ配置シテ勤労ニ従事セシム
(3)学校校舎ハ必要アル場合ハ軍需工場化シ又ハ之ヲ軍用、非常倉庫用、非常病院用、避難住宅用其ノ他緊要ノ用途ニ之ヲ転用ス
二、国民勤労体制ノ刷新
職業転換、適正配置並ニ勤労管理特ニ学徒、女子及応徴者等ニ関スル受入体制ノ急速ナル刷新強化ヲ図ルト共ニ家庭ノ根軸タル者ヲ除ク女子ノ女子挺身隊強制加入ノ途ヲ拓キ且之ニ即応シテ官庁側ノ指導、斡旋、保護ノ充実ニ遺憾ナカラシム
右ニ関連シ速ニ動員機構ヲ整備シ特ニ軍動員トノ関係ノ緊密化ヲ図ル
三、防空体制ノ強化
(1)重要工場ニ付キ能フ限リノ防空施設ヲ行フト共ニ工場防空組織ヲ完備スル等工場防空ノ急速ナル強化ヲ図ル
(2)空襲被害極限等ニ付テノ準備訓練ヲ徹底ス
(3)空襲ニ依ル物的被害ノ修理復旧、食糧配給ノ確保、救護、空襲時用簡易住宅ノ建設等空襲時ノ善後措置ニ関スル準備ノ急速完成ヲ図ル
(4)一般疎開ノ実施ヲ強度ニ促進スルト共ニ第二次官庁疎開、脆弱木造官庁建物ノ移転除却、統制会又ハ団体建物及地方会社出張所、社交倶楽部等ノ整理ヲ行フ
(5)養老院、精神病院、刑務所(生産ニ影響ナキモノ)等ハ極力速ニ地方ニ疎開又ハ整理セシム
(6)空襲被害ニ備ヘ近府県農村又ハ小都市所在ノ親戚、知人ノ許ニ最少限必要ノ衣類身廻品ヲ預託スルコトヲ徹底セシム
(7)前各項ノ外防空並ニ疎開ニ付急速徹底セル各般ノ措置ヲ講ズ
四、簡素生活徹底ノ覚悟ト食糧配給ノ改善整備
(1)時局突破ノ為ニハ国民生活ヲ徹底的ニ簡素化シ第一線将兵ノ困苦欠乏ヲ想ヒ如何ナル生活ニモ耐フルノ覚悟ヲ固メシム
(2)大都市ニ於ケル当面食糧ノ配給ノ改善特ニ少年等ニ対スルモノニ付格段ノ措置ヲ講ズ
(3)藷類ノ乾燥、魚類ノ塩漬等食糧ノ加工貯蔵ヲ徹底ス
五、空地利用ノ徹底
家庭、隣組、学校生徒、青少年団、壮年団、産業報国会其ノ他ヲ動員シ特ニ大都市ニ於ケル公園、庭園、花卉園等ハ勿論、校庭、工場周辺空地其ノ他ノ空閑地ハ徹底的ニ之ヲ食糧作物ニ利用セシム
六、製造禁止品目ノ拡大ト規格統一ノ徹底
製造禁止品ノ範囲ヲ拡大スルト共ニ規格ノ統一ヲ徹底ス
七、高級享楽ノ停止
高級料理店待合ハ之ヲ休業セシメ、又高級興行歓楽場等ハ一時之ヲ閉鎖シ其ノ施設ハ必要ニ応ジ之ヲ他ニ利用スルト共ニ其ノ関係者ハ時局ニ即応シテ之ガ活用ヲ図ル
八、重点輸送ノ強化
旅行ヲ徹底的ニ制限シ、線路ノ転用ヲ強化シ、以テ戦力増強並ニ防空疎開ニ必要ナル輸送ヲ強化ス
九、海運力ノ刷新強化
海運行政ノ刷新強化ヲ行フト共ニ船舶建造ノ急速増加ト船舶運航効率ノ画期的向上トヲ図リ以テ海運力ノ徹底的増強ヲ図ル
一〇、平時的又ハ長期計画的事務及事業ノ停止
官庁、公共団体其ノ他ノ標記事務及事業ハ差当リ一年間ハ全部之ヲ停止シ又ハ保存ニ必要ナル最少限度ノ範囲ニ縮少シ、其ノ職員ハ他ノ緊要事務ニ之ヲ充当ス
 尚右ニ即応シ原則トシテ差当リ一年間官庁新規営繕工事ハ之ヲ休止シ又諮問的委員会ノ停止等ヲ行フモノトス
一一、中央監督事務ノ地方委任
中央各官庁ノ許認可等監督的事務ハ差当リ一年間原則トシテ総テ之ヲ夫々ノ地方官庁又ハ官吏ニ委任シ、要スレバ予メ大綱ヲ準則的ニ指示シ又ハ事後報告ヲ徴スルモノトス
一二、裁判検察ノ迅速化
裁判検察ノ迅速化ヲ徹底シ特ニ時局犯罪ニ対スル迅速処理ノ方途ヲ講ズ
一三、保有物資ノ積極的活用
広ク官公署、会社、家庭等ニ於ケル保有物資ノ積極的ナル活用供出ヲ図ル(之ガ為例ヘバ各官公署、会社等ニ於ケル物資ノ保存年限等ヲ極度ニ短縮ス)
一四、信賞必罰ノ徹底ト査察ノ強化
官吏、公務員其ノ他時局産業関係者等ニ付信賞必罰ヲ敏活徹底的ニ行フト共ニ行政ノ全般ニ亘リ強力ナル査察ヲ実施ス
一五、国民運動ノ展開
皇国隆替ノ岐路ニ際シ挙国必勝ノ信念ニ徹底シ国民総動員体制ヲ強化シ真ニ其ノ総力ヲ竭シテ戦力増強、食糧増産等夫々ノ職域ニ邁進スルト共ニ時局突破ノ為国民生活ヲ徹底的ニ簡素化シ凡ユル忍耐ヲ覚悟スルノ真摯熱烈ナル国民運動ヲ展開ス
一六、国民指導啓発
時局ノ真相ヲ国民特ニ指導階級ニ大胆率直ニ周知セシメ、之ガ奮起ヲ図ルト共ニ徹底セル敵愾心昂揚ノ方途ヲ講ズ
一七、官庁休日ヲ縮減シ常時執務ノ態勢ヲ確立ス


[口語訳]

決戦の現段階に即応し国民すなわち戦士の覚悟に徹して、国を挙げて精進刻苦その総力を直接戦力増強の一点に集中して当面の各重要施策の急速な徹底を図る他、まず左の非常措置を講じる

一、学徒動員体制の徹底

(1)原則として中等学校程度以上の学生生徒は全て、今後一年常時その勤労その他非常任務に出動させる組織的態勢に置き、必要に応じて随時活発な動員を実施する。
(2)理科系の者はその専門に応じておおむねそれを軍関係工場や病院等の職場に配置して勤労従事させる。
(3)学校校舎は必要ある場合は軍需工場化し、またはこれを軍用、非常倉庫用、非常病院用、避難住宅用その他重要な用途に転用する。

二、国民勤労体制の刷新

職業転換、適正配置並びに勤労管理、特に学徒、女子および応徴者等に関する受け入れ体制の急速な刷新強化を図るとともに、家庭の中心たる者を除く女子の女子挺身隊への強制加入の道を開き、かつこれに即応して官庁側の指導、斡旋、保護の充実に万全をつくす。
右に関連し速やかに動員機構を整備し、特に軍動員との関係の緊密化を図る。

三、防空体制の強化

(1)重要工場について可能な限り防空施設を行うとともに工場防空組織を完備する等工場防空の急速な強化を図る。
(2)空襲被害の極限等についての準備訓練を徹底する。
(3)空襲による物的被害の修理復旧、食糧配給の確保、救護、空襲時用の簡易住宅の建設等空襲時の善後措置に関する準備の急速な完成を図る。
(4)一般疎開の実施を強く促進するとともに第二次官庁疎開、脆弱木造官庁の建物の移転または除去、統制会または団体建物および地方会社出張所、社交クラブ等の整理を行う。
(5)養老院、精神病院、刑務所(生産に影響ないもの)等は極力速やかに地方に疎開または整理させる。
(6)空襲被害に備えて近府県農村又は小都市所在の親戚、知人の許に最小限必要な衣類や見回り品を預託することを徹底させる。
(7)前各項の他防空ならびに疎開について急速に徹底させる全ての措置を講じる。

四、簡素生活徹底の覚悟と食糧配給の改善整備

(1)時局突破のために国民生活を徹底的に簡素化し、第一線の将兵の困苦欠乏を思い、いかなる生活にも耐える覚悟を固めさせる。
(2)大都市における当面の食糧の配給の改善、特に少年等に対するものについては格段の措置を講じる。
(3)藷類の乾燥、魚類の塩漬け等食糧の加工貯蔵を徹底する。

五、空き地利用の徹底

家庭、隣組、学校生徒、青少年団、壮年団、産業報告会その他を動員し、特に大都市における公園、庭園、花卉園等はもちろん、校庭、工場周辺空き地その他の空閑地は徹底的にこれを食糧作物に利用させる。

六、製造禁止品目の拡大と規格統一の徹底
製造禁止品の範囲を拡大するとともに規格の統一を徹底する。

七、高級享楽の停止
高級料理店待合茶室はこれを休業させ、また高級興行歓楽場等は一時これを閉鎖し、その施設は必要に応じてこれを他に利用するとともにその関係者は時局に即応してその活用を図る。

八、重点輸送の強化
旅行を徹底的に制限し、線路の転用を強化し、もって戦力増強ならびに防空疎開に必要な輸送を強化する。

九、海運力の刷新強化
海運行政の刷新強化を行うとともに船舶建造の急速増加と船舶運行効率の画期的向上とを図ってもって海運力の徹底的増強を図る。

一〇、平時的または長期計画的事務および事業の停止

官庁、公共団体その他の標記事務および事業はさしあたり一年間は全部これを停止し、または保存に必要な最小限度の範囲に縮小し、その職員は他の重要な事務に当てる。
なお、右に即応し原則としてさしあたり一年間官庁新規営繕工事はこれを休止しまたは諮問的委員会の停止等を行うものとする。

一一、中央監督事務の地方委任

中央各官庁の許認可等監督的事務はさしあたり一年間原則としてすべてこれをそれぞれの地方官庁または官吏に委任し、要すれば予め大綱を準則的に指示しまたは事後報告を徴するものとする。

一二、裁判・検察の迅速化
裁判、検察の迅速化を徹底し特に時局犯罪に対する迅速な処理の方策を講じる。

一三、保有物資の積極的活用
広く官公署、会社、家庭等における保有物資の積極的な活用と供出を図る(これがため例えば各官公署、会社等における物資の保存年限等を極度に短縮する)

一四、信賞必罰の徹底と査察の強化
官吏、公務員その他時局産業関係者等については信賞必罰を敏活徹底的に行うとともに行政の全般にわたり強力な査察を実施する。

一五、国民運動の展開
皇国盛衰の岐路に際して挙国必勝の信念に徹し、国民総動員体制を強化し真にその総力を尽くして戦力増強、食糧増産等それぞれの職域に邁進するとともに時局突破のため国民生活を徹底的に簡素化し、あらゆる忍耐を覚悟する真摯熱烈な国民運動を展開する。

一六、国民指導啓発
時局の真相を国民、特に指導階級に大胆率直に周知させ、それによって奮起を図るとともに徹底した敵愾心昂揚の方策を講じる。

一七、官庁休日を縮減し常時執務の態勢を確立する。


決戦非常措置要綱(昭和20年1月25日 閣議決定)  [口語訳]

 第一 方針
第一条 帝国今後ノ国内施策ハ速カニ物心一切ヲ結集シテ国家総動員ノ実効ヲ挙ケ以テ必勝ノ為飽ク迄戦ヒ抜クノ確固不抜ノ基礎態勢ヲ確立スルニ在リ之力為具体的施策ヲ更ニ強化徹底シテ近代戦完遂ニ必要ナル国力並国力ノ維持増強ニ遺憾ナキヲ期ス而シテ今後採ルヘキ各般ノ非常施策ハ即刻之ヲ開始シ昭和十九年度末ヲ目途トシテ之カ完成ヲ図ルモノトス
第二 国力並戦力造成要綱
第二条 当面ノ情勢ニ鑑ミ国力並戦力造成上ノ基本方針左ノ如シ
一 作戦上ノ中核戦力トシテ依然航空機並限定セル特攻屈敵戦力ヲ優先整備ス
二 国力ノ造出ハ日、満、支資源ヲ基盤トシ自給不能ナル南方資源ヲ充足シ其ノ総合的運営ノ下ニ近代戦争遂行能力ノ確立ヲ主眼トシ併セテ各地域毎ノ攻戦略態勢ノ強化ヲ図ル之カ為液体燃料ノ急速増産、海陸輸送力ノ維持増強、生産防空態勢ノ徹底的強化、食糧ノ増産特ニ国内ニ於ケル自給ノ飛躍的増強ヲ最重点的ニ実現ス而シテ現状ニ鑑ミ左記事項ニ関シテハ特段ノ措置ヲ講ス
航揮ノ急速還送、自給不能ナル南方資源ノ急速還送
第三条 昭和二十年度戦力並国力ノ造出目標並之カ完遂ノ為準拠スヘキ事項左ノ如シ
一 陸海軍ノ軍需整備
1 戦力ノ増強ハ航空戦力ノ維持増強ト特攻屈敵戦力ノ急速ナル大量造成トヲ図ルヲ第一義トシ次テ対潜、対空兵器等ノ可及的多量整備ヲ期スルモノトス
2 航空機ノ生産ハ益々重点機種ノ整備並機種ノ整理統合ヲ重視シツツ上半期努力目標二〇、〇〇〇機完遂目標ヲ一六、〇〇〇機トシ下半期ニ就テハ差当リ其ノ努力目標ヲ二四、〇〇〇機トシテ各般ノ施策ヲ推進シ其ノ完遂目標ニ関シテハ本年三月頃当時ノ情勢ヲ勘案シ決定ス
重要物資供給力ノ低下ニ対処シ本目標ノ必達ヲ期スル為歩留リノ向上、鋼製並木製機ノ量産促進、「アルミ」供給力ノ増強施策ヲ強行スルト共ニ改修ノ緊縮化、審査規格ノ戦時化、補用品ノ徹底的合理化等凡有施策ヲ強力ニ推進スルモノトス又特ニ陸海軍ハ其ノ協力支援ニ格段ノ努力ヲ傾注スルモノトス
3 戦力ノ運用並戦備ノ建設ハ陸海軍真ニ一体トナリ之カ総合的運営ト最高能力ノ発揮トニ遺憾ナキヲ期スルモノトス
二 物的国力(液体燃料ヲ除ク)確保ノ規模
1 近代戦争遂行能力ノ保続運営ニ遺憾ナキヲ期スル為昭和二十年産普通綱鋼材二七〇万屯、之ニ即応スル関連重要物資ノ供給力ヲ絶対最低限確保目標トシ万策ヲ尽シテ基本国力普通鋼材三〇〇万屯ノ達成ニ努ム
輸送力窺迫ノ現状ニ鑑ミ特ニ鉄鋼生産ニ在リテハ国内鉄源供出ノ徹底化、内地鉄鋼石ノ最大活用、海送強粘結炭配合比ノ合理的節減、余剰電力ノ活用ニ依ル電撃製錬ノ促進、満支ニ於ケル製鉄ノ増強、農山村ニ於ケル木炭銑ノ生産奨励等各般ノ非常措置ヲ断行スルモノトス
2 国内石炭ノ昭和二十年度ノ生産努力目標ヲ五、五〇〇万屯確保目標ヲ五、二〇〇万屯トシ之カ達成ノ為資材及労務ノ確保等ニ関シ特段ノ措置ヲ講スルモノトス
3 「アルミニウム」ノ昭和二十年度生産確保目標ヲ十五万屯トシ之カ生産設備拡充ヲ強力急速ニ促進スルト共ニ生産用原材料確保ニ関シ特段ノ措置ヲ講ス
国内原料へノ転換期ニ於ケル過渡的対策トシテ昭和十九年度第四、四半期並昭和二十年度初頭ニ「ボーキサイト」ノ可及的繰上還送ヲ行フ
4 生「ゴム」、錫等真ニ南方依存脱却不可能ナル南方特産物資ハ陸海軍ニ於テ之カ還送確保ノ方途ヲ講スルモノトス
三 液体燃料
1 液体燃料ハ昭和二十年度二〇〇万竏(製品)ヲ絶対最低限確保目標トシ万策ヲ尽シテ努力目標ニ五〇万竏ノ達成ニ努ム而シテ各般ノ施策ハ昭和二十年度第一、四半期ニ於ケル危機ヲ克服スルヲ主眼トシ飽ク迄昭和十九年十月二十八日最高戦争指導会議決定ニ基ク日満支液体燃料生産努力目標ノ必成ニ邁進スルト共ニ南方燃料ノ還送ハ上半期約五〇万竏ノ確保ヲ目標トシ下半期ニ就テハ日満支自給対策ノ補強的性格ニ於テ行フモノトシ其ノ還送量ハ当時ノ情勢ニ依リ決定ス
2 日満支ノ増産ハ昭和二十年度初頭以降台湾砂糖ノ還送ニ期待シ得サルヲ本則トシテ之カ対策ヲ講スルモノトス
之カ為所要資材ノ可及的確保ニ努ムルト共ニ日満支油田ノ徹底的開発、甘藷、馬鈴薯等ノ大増産ヲ強行シ且石炭乾溜設備余剰能力ノ活用支那油脂ノ取得ヲ図ルモノトス但シ上半期ニ於ケル危機克服ノ為右施策ト併行シ極力台湾砂糖ノ還送ニ努ム
3 現行施策ニ膚接シテ益々軍官民共ニ高度ノ消費規正ト代燃化ノ促進トヲ図リ特ニ陸海軍ハ酒精ノ航揮代換促進ニ関シ画期的ノ措置ヲ講スルモノトス
四 船舶建造
1 甲造船
(イ) 昭和二十年度建造目標ヲ約一五九万総屯トシ貨物船ト油槽船トノ建造比率ハ前記物的国力ノ最低限確保ニ必要ナル貨物船ノ建造ヲ優先充足シテ配分スルト共ニ上半期ニ於ケル繰上建造ニ努力スヘキコト等ヲ主眼トシ、貨物船約一〇七万総屯、油槽船約三八万総屯、
雑船約一四万総屯ヲ建造スルモノトス
尚造船量ノ減少ハ一応油槽船ニテ調整スルヲ本則トス
(ロ) 既往ノ多量生産主義ヲ脱却シテ質的ヘノ転換特ニ其ノ優速化ト竣工船ノ質的確保トヲ図ルト共ニ対潜、対空強化並荷役能力向上ノ見地ヨリ可及的ニ小型且短切揚搭適格船ノ多量生産ニ移行シ且燃料需給ノ逼迫ニ対処スル為重油焚貨物船ヲ極力石炭焚ニ切替フルモノトス
(ハ) 新造船油槽船ハ全部航空揮発油搭載船トシ且状況ノ推移ニ対応シ得ル如ク一部油槽船ハ貨物船ニ改造シ得ル如ク設計ス
(ニ) 益々損傷並故障船ノ修理促進ヲ重視ス
2 乙造船
二十年度建造目標ヲ四十五万総屯以上(前年繰延ヲ含ム)トシ之カ急速ナル整備完成ヲ図ルト共ニ特ニ曳船被曳船ヲ重視ス尚現続行船及既発註分ヲ可及的ニ代燃機関ニ切換フルト共ニ速カニ現存船ノ多量代燃化ヲ図ル
又昭和二十年度国力ノ基底ハ乙造船二依存スル所大ナルニ鑑ミ其ノ計画完遂特ニ資材ノ現物化ニ関シ格段ノ努力ヲ傾注スルモノトス
3 情勢ノ推移ニ依リテハ前記甲、乙造船量ヲ総合的ニ調整スルコトアルヲ予期ス
五 車輌建造
1 鉄道車輌
昭和二十年度建造目標ヲ機関車二〇七輌、貨車七、五〇〇輌トシ特ニ之カ早期落成ヲ図ル
2 小運送車輌
昭和二十年度建造目標ヲ貨物自動車五、五〇〇輌、軽車輌一四九、〇〇〇輌トシ特ニ荷車ノ増備ヲ行フ
現有貨物自動車ノ修理ニ特設ノ処置ヲ講シ代燃機ノ急速増産ヲ図ル
六 生産防空態勢ノ強化
1 敵ノ本格的大規模空襲ニ対シ生産ノ保続運営ニ遺憾無カラシムルヲ主眼トシ直接重要企業ニ於ケル防空、企業形態、勤労体制等ニ関シ有機的且抜本的措置ヲ講シ且国力造出ノ基盤トシテ日、満、支陸海交通路ノ保全運営ニ関シ特段ノ措置ヲ講ス
2 生産防空能体勢ノ急速活発ナル促進ヲ期スル為先ツ分散疎開ヲ急速概成スルト共ニ特ニ重要ナルモノハ地下施設へノ移行スルモノトス
之カ為差当リ航空兵器、甲造船関係其ノ他特定緊要工場ノ分散疎開ヲ第一義トシ之等ハ遅クモ本年度末迄ニ概成スルモノトス、尚之二関連シ極力地域別生産態勢ノ確立ヲ図ルモノトス
3 空襲等非常事態特ニ交通機関杜絶等ノ場合ニ於テ必要ナル通信(放送ヲ含ム)連絡ノ確保ヲ図ル為通信非常体制ヲ強化ス
七 食糧
内地ニ於ケル食糧自給ノ画期的増強ヲ期スルト共ニ食糧ノ現行配給基準ヲ堅持スル為左ノ方途ヲ講ス
1 内地ニ於ケル食糧ノ増産及管理ノ徹底的強化ヲ図ル、之力為
(イ) 米麦ノ外此ノ際補填食糧並アルコール原料トシテ藷類ノ画期的増産ヲ図ル
(ロ) 麦類及藷類ノ集荷確保並処理加工ニ付特段ノ措置ヲ講ス
(ハ) 食糧ノ供出割当量ノ強化及其ノ絶対確保ヲ期スルト共ニ現行配給方法ニ付改正ヲ加フ
(ニ) 国内補填食糧給源ノ徹底的開発培養ヲ図リ特ニ蛋白補給源トシテ水産食糧ノ確保ニ努ム
(ホ) 食糧増産確保ニ必要ナル肥料及農機具等ノ最低必要量ヲ充足ノ為所要資材ノ確保ヲ図ル
2 昭和二十年米穀年度食糧需給上外地及満洲穀類ニ依存セサルヲ得サル所要量ニ付テハ之カ輸移入ニ依リ補填ス
3 強靱確固タル食糧自給体制確立ノ見地ヨリ都市遊閑人口ノ疎開ヲ強化ス
八 労務
1 人的国力ノ総合発揮ノ為軍動員ト勤労動員トノ適正ナル総合調整計画ノ樹立ト之カ運営強化ヲ図ル
2 勤労総動員ヲ強化スルト共ニ将来ニ於ケル軍動員実施ニ弾力ヲ保有スル為労務ノ配置転換、機動配置ノ徹底、要員指定制ノ実施等国民動員ノ適正刷新ヲ図ルト共ニ学徒勤労動員ノ強化並女子ノ徴用ヲ断行シ之カ積極的代替活用ヲ促進ス
第四条 輸送力ハ戦力並国力造出ノ根基タルニ鑑ミ昭和二十年度海上輸送力約三、二〇〇万屯陸上輸送力約八五、〇〇〇万屯ヲ確保目標トシテ之カ増強(海上輸送力ニ在リテハ努力目標ヲ約三、五〇〇万屯トス)ヲ図ルト共ニ海陸輸送ノ総合運営ヲ強化スル為各般ノ施策時ニ左ノ措置ヲ講ス
1 海上輸送力ノ増強
(イ) 船舶損耗防止特ニ海上護衛ノ強化之カ為特ニ陸海一体ノ飛躍的ナル措置ヲ講ス
(ロ) 海運行政ノ抜本的刷新ト港湾行政ノ一元化
(ハ) 船舶修理ノ画期的促進強化
(ニ) 稼行率ノ向上
(ホ) 南方航路ニ於ケル各種船舶ノ総合輸送力ノ向上
(ヘ) 船員ノ整備強化
(ト) 木船建造並運航体制ノ刷新強化ト内地帆船ノ計画的利用
2 陸上輸送力ノ増強
(イ) 旅客列車ノ極限的圧縮等ニ依ル貨物輸送ノ増強並職場附近転居ニ依ル通勤輸送ノ極限
(ロ) 貨車運用効率ノ向上
(ハ) 隘路線区ニ於ケル輸送施設ノ増強
(ニ) 要員ノ確保並之カ勤労力ノ強化
(ホ) 陸上小運送ノ画期的強化
3 海陸輸送総合運営ノ強化
(イ) 大陸輸送ノ一元的運用
(ロ) 中継輸送カノ強化
第五条 今後ノ国家諸計画ノ策定ハ本要綱ノ強力ナル実行ニ遺憾無カラシムルモノトス
第三 国内態勢強化刷新要綱
第六条 精神動員ノ強化ヲ重視シツツ国内態勢ヲ強化刷新シテ挙国総力戦態勢ノ確立ヲ期
第七条 国政運営並国内一般態勢ニ対シ成ルヘク速カニ左ノ施策ヲ断行ス
一 国力作戦トノ緊密一体化ヲ具現セシムル如ク必要ナル措置ヲ実行ス
二 日、満、支ノ生産及輸送ノ計画並之カ運営ヲ総合的ニ行ヒ得ル如ク所要ノ措置ヲ講ス
三 鞏固ナル国内防衛態勢ヲ確立ス
四 生産、交通、食糧、労務等ニ関シ中央ノ計画ニ基キ国内各地域ノ戦力ヲ組織化スルト共ニ防衛ト緊密一体化セシムル為地方行政機関ヲ強化刷新シ陸海軍関係機関トノ緊密ナル吻合関係ヲ樹立ス
五 軍需生産行政ノ一元化及労務並資金ニ関スル行政ノ一元化ヲ図ル
六 戦局ノ苛烈化ニ対処シ重要軍需企業、交通運輸機関並金融機関ノ整備ヲ断行シ其ノ保続運営ニ遺憾無キヲ期ス
七 各部門ノ統制機構及現行各般ノ統制法規ニ就キ生産性ノ昂揚ニ徹スル如ク所要ノ改廃整備ヲ断行ス
八 闇ノ粛正、配給制度ノ合理化等ニ依リ国民生活ノ明朗化ヲ図ル
九 行政特ニ生産輸送部面ノ監察及生産技術ノ指導ヲ励行ス


[口語訳

 第一 方針

第一条 帝国の今後の国内施策は速やかに物心一切を結集して、国家総動員の実行を挙げ、必勝のためあくまで戦い抜くという確固とした不抜の基礎態勢を確立することにある。このために具体的施策をさらに強化徹底して近代戦争完遂に必要な国力ならびに国力の維持増強に万全でなければならない。そして、今後とるべき全ての非常施策は即刻開始し昭和19年度末をめどにその完成を図るものとする。

第二 国力並びに戦力造成要綱

第二条 当面の情勢からして国力並びに戦力造成上の基本方針は左のとおりである。

一 作戦上の中核戦力として依然として航空機並びに限定された特攻屈敵戦力を優先整備する。

二 国力の創出は、日本、満州、支那の資源を基盤として自給が不能な南方の資源を充足し、その総合的運営の下に近代戦争遂行能力の確立を主眼とし、併せて各地域ごとの攻戦略態勢の強化を図る。そのため液体燃料の急速な増産、海陸輸送能力の維持と増強、生産防空態勢の徹底的強化、食糧の増産特に国内における自給の飛躍的増強を最重点的に実現する。そして現状に照らして左記事項に関しては特段の措置を講ずる。
航揮の急速な送還。自給不能な南方資源の急速送還。

第三条 昭和20年度戦力並びに国力の創出目標並びにこの完遂のため、準拠すべき事項は左のとおりである。

一 陸海軍の軍需整備

1 戦力の増強は航空戦力の維持増強と特攻屈敵戦力の急速な大量造成とを図ることを第一として、次に対潜、対空兵器等についてもできるだけ多量整備をしなければならない。

2 航空機の生産は、重点機種の整備ならびに機種の整理統合をますます重視しつつ、上半期努力目標に二万機、完遂目標を一万六千機とし、下半期については差し当たりその努力目標を二万四千機として全ての施策を推進し、その完遂目標に関しては本年三月頃の情勢を判断して決定する。
重要物資の供給力の低下に対処し、本目標を必らず達成しなけれはならない。そのため歩留りの向上、鋼製ならびに木製機の量産促進、「アルミ」供給力の増強施策を強行すると共に改修の緊縮化、審査規格の戦時化、補充品の徹底的合理化等およそ有りうべき施策を強力に推進するものとする。また、特に陸海軍はその協力支援に格段の努力を傾注するものとする。
3 戦力の運用並びに整備の建設は陸海軍が真に一体となってこれが総合的運営と最高の能力発揮とに万全でなければならない。

二 物的国力(液体燃料を除く)確保の規模

1 近代戦争遂行能力を保持継続し運営に万全を期するため、昭和20年度産普通鋼材二百七〇万トン、これに即応する関連重要物資の供給力を絶対に最低限確保目標とし、万策を尽くして基本国力普通鋼材三百万トンの達成に努める。
輸送力困窮の現状に照らして特に鉄鋼生産にあっては、国内鉄源供出の徹底化、内地鉄鉱石の最大活用、輸送強粘結炭配合比の合理的節減、余剰電力の活用による電撃製錬の促進、満州、支那における製鉄の増強、農山村における木炭銑の生産奨励等すべての非常措置を断行するものとする。

2 国内石炭の昭和20年度の生産努力目標を五千五百万トン確保、確保目標を五千二百万トンとして、これが達成のため資材および労務の確保等に関して特段の措置を講ずるものとする。

3 「アルミニウム」の昭和20年度生産確保目標十五万トンとし、これが生産設備の拡充を強力にしかも急速に促進すると共に生産用原材料の確保に関しては特段の措置を講ずる。国内原料への転換期における過渡的対策として、昭和19年度第四、四半期並びに昭和20年度初頭に「ボーキサイト」をできるだけ繰上げ送還を行う。

4 生「ゴム」、錫等真に南方依存脱却不可能な南方特産物資は、陸海軍においてその送還確保の方途を講ずるものとする。

三 液体燃料

1 液体燃料は昭和20年度二百万キロリットル(製品)を絶対最低限確保目標とし、万策を尽くして努力目標二百五十万キロリットルの達成に努める。そしてすべての施策は昭和20年度、第一、四半期における危機を克服することを主眼としてあくまで昭和19年10月28日最高戦争指導会議決定に基づく日本、満州、支那の液体燃料生産努力目標の達成に邁進するともに南方燃料の送還は上半期約五〇万キロリットルの確保を目標として、下半期については日本、満州、支那の自給対策の補強的側面として行うものとし、その送還量は当時の情勢によって決定する。

2 日本、満州、支那の増産は、昭和20年度初頭以降台湾砂糖の送還に期待出来ないことで原則としてその対策を講ずるものとする。これがためできるだけ必要資材の確保に努めると共に日本、満州、支那の油田の徹底的開発、甘藷、馬鈴薯等の大増産を強行し、かつ石炭乾溜設備における余剰能力の活用、支那油脂の取得を図るものとする。ただし、上半期における危機克服のため右施策と並行して極力台湾砂糖の送還に努める。

3 現行施策に接して軍官民ともに高度の消費規制と代燃化の促進とをますます図り、特に陸海軍はエチルアルコールの航揮代替促進に関して画期的な措置を講ずるものとする。

四 船舶造船

1 甲造船
(イ)昭和20年度建造目標を約百五十九万総トン貨物船と油送船との建造比率は、前記物的国力の最低限確保に必要な貨物船の建造を優先に充足して配分することともに上半期における繰り上げ建造に努力すべきこと等を主眼とし、貨物船約百七万総トン、油送船約三十八万総トン、雑船約十四万総トンを建造するものとする。
なお、造船量の減少は一応油送船において調整することを原則とする。
(ロ)過去の多量生産主義を脱却して質的転換、特にその優速化と竣工船の質的確保とを図るとともに対潜、対空強化ならびに荷役能力向上の見地よりできるだけ小型かつ短切揚搭適格船の多量生産に移行し、かつ燃料需給の逼迫に対処するために重油焚き貨物船を極力石炭焚きに切り替えるものとする。
(ハ)新造油送船は、全部航空揮発油搭載船としかつ状況の推移に対応できるように一部油送船は貨物船に改造できるよう設計する。
(ニ)損傷ならびに故障船の修理の促進をますます重視する。

2 乙造船
20年度建造目標を四十五万総トン以上(前年繰り延べを含む)とし、その急速な整備完成を図るとともに特に引き舟被引き舟を重視する。なお、現に続行する船および既に発注分をできるだけ代燃機関に切り替えるとともに速やかに現存船の多量代燃化を図る。また、昭和20年度国力の基底は乙造船に依存する所が大きいのに照らして、その計画完遂特に資材の現物化に関して格段の努力を傾注するものとする。

3 情勢の推移によっては前記甲、乙造船量を総合的に調整することを予め考えおかなければならない。

五 車両建造

1 鉄道車両
昭和20年度建造目標を機関車二百七両、貨車七千五百両とし特にその早期達成を図る。

2 小運送車両
昭和20年度建造目標を貨物自動車五千五百両、軽車両十四万九千両とし特に荷車の増備を行う。

六 生産防空態勢の強化

1 敵の本格的大規模空襲に対し生産の保持継続運営に万全にすることを主眼とし、直接重要企業における防空、企業形態、勤労体制等に関して、有機的かつ抜本的措置を講じ、かつ国力創出の基盤として日本、満州、支那の陸海交通路の保全運営に関して特段の措置を講じる。

2 生産防空態勢の急速活発な促進を期するため、まず分散疎開を急速に完了するとともに特に重要なものは地下施設へ移行するものとする。そのため差し当たり航空兵器、甲造船関係その他特定重要な工場の分散疎開を第一とし、これらは遅くとも本年度末までに完了するものとする。なお、これに関連して極力地域別生産態勢の確立を図るものとする。

3 空襲等非常事態、特に交通機関途絶等の場合において必要なる通信(放送を含む)連絡の確保を図るため通信非常体制を強化する。

七 食糧
内地における食糧自給の画期的増強を期するともに食糧の現行配給基準を堅持するため左のことを講じる。

1 内地における食糧の増産および管理の徹底的強化をはかる。これがため、
(イ)米麦の他この際に補填食糧並びにアルコール原料として藷類の画期的増産を図る。
(ロ)麦類および藷類の集荷確保ならびに処理加工に就いて特段の措置を講じる。
(ハ)食糧の供出割り当て量の強化およびその絶対確保を期すると共に現行配給方法について改正を加える。
(ニ)国内補填食糧供給源の徹底的開発と培養を図り、特に蛋白質補給源として水産食糧の確保に努める。
(ホ)食糧増産確保に必要な肥料および農機具等の最低必要量の充足のため必要資材の確保を図る。

2 昭和20年度米穀年度食糧需給上、外地および満州穀類に依存しなければならない必要量についてはこれを輸移入によって補填する。

3 強靱で確固たる食糧自給体制確立の見地から都市の有閑人口の疎開を強化する。

八 労務

1 人的国力の総合発揮のため軍動員と勤労動員との適正な総合調整計画の樹立とその運営強化を図る。

2 勤労総動員を強化するとともに、将来における軍動員実施に弾力をもたせるため労務の配置転換、状況に応じた配置方法の徹底、要員指定制の実施等国民動員の適正刷新を図るとともに学徒勤労動員の強化ならびに女子の徴用を断行しその積極的な代替活用を促進する。

第四条 輸送力は戦力並びに国力創出の根底であることに照らして昭和20年度海上輸送力約三千二百万トン陸上輸送力約八億五千万トンを確保目標とし、その増強(海上輸送力では努力目標を約三千五百万トンとする)を図るとともに海陸輸送の総合運営を強化するため、すべての施策時に左の措置を講じる。

1 海上輸送力の増強
(イ)船舶損耗防止、特に海上護衛の強化とそのため特に海陸一体の飛躍的な措置を講じる。
(ロ)海運行政の抜本的刷新と港湾行政の一元化
(ハ)船舶修理の画期的促進強化
(ニ)稼働率の向上
(ホ)南方航路における各種船舶の総合輸送力の向上
(ヘ)木船建造ならびに運行体制の刷新強化と内地帆船の計画的利用

2 陸上輸送力の増強
(イ)旅客列車の極限的圧縮等による貨物輸送の増強ならびに職場付近への転居による通勤輸送の極限。
(ロ)貨車運用効率の向上
(ハ)隘路線区における輸送施設の増強
(ニ)要員の確保並びにその勤労力の強化
(ホ)陸上小運送の画期的強化

3 海陸輸送総合運営の強化
(イ)大陸輸送の一元的運用
(ロ)中継輸送力の強化

第五条 今後の国家計画の策定は本要綱の強力な実行に万全でなければならない。

第三 国内態勢強化刷新要綱

第六条 精神動員の強化を重視しつつ国内態勢を強化刷新して挙国総力戦態勢の確立を期す。

第七条 国政運営ならびに国内一般態勢に対してなるべく速やかに左の施策を断行する。
一 国力作戦との緊密な一体化を具現させるよう必要な措置を実行する。
二 日本、満州、支那の生産および輸送の計画ならびにその運営を総合的にできる必要な措置を講じる。
三 強固な国内防衛態勢を確立する。
四 生産、交通、食糧、労務等に関して中央の計画に基づき、国内各地域の戦力を組織するとともに、防衛と緊密一体化させるため地方行政機関を強化刷新し陸海軍関係機関との緊密な密着関係を樹立する。
五 軍需生産行政の一元化および労務ならびに資金に関する行政の一元化を図る。
六 戦局の苛烈化に対処し重要軍需企業、交通運輸機関ならびに金融機関の整備を断行しその保持継続運営に万全でなければならない。
七 各部門の統制機構および現行のすべての統制法規について生産性の高揚に徹するように必要な改廃整備を断行する。
八 闇の粛正、配給制度の合理化等によって国民生活の明朗化を図る。
九 行政特に生産輸送部門の監督および生産技術の指導を励行する。


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