ニミッツ布告・「米国海軍軍政府布告第1号」       [口語訳]

 米国軍占領下ノ南西諸島及其近海居住民ニ告グ

 日本帝国ノ侵略主義並ビニ米国ニ対スル攻撃ノ為、米国ハ日本ニ対シ戦争ヲ遂行スル必要ヲ生ゼリ。且ツ是等諸島ノ軍事的占領及軍政ノ施行ハ我が軍略ノ遂行上並ニ日本ノ侵略力破壊及日本帝国ヲ統括スル軍閥ノ破滅上必要ナル事実ナリ。

 治安維持及米国軍並ニ居住民ノ安寧福祉確保上占領下ノ南西諸島中本島及他島並ニ其近海ニ軍政府ノ設立ヲ必要トス。

 故ニ本官米国太平洋艦隊及太平洋区域司令官兼米国軍占領下ノ南西諸島及其近海ノ軍政府総長、米国海軍元帥シー・ダブリュー・ニミッツ茲ニ左ノ如ク布告ス。

一 南西諸島及其近海並ニ其居住民ニ関スル総テノ政治及管轄権並ニ最高行政責任ハ占領軍司令官兼軍政府総長、米国海軍元帥タル本官ノ権能ニ帰属シ本官ノ監督下ニ部下指揮官ニ依リ行使サル。

二 日本帝国政府ノ総テノ行使権ノ行使ヲ停止ス。

三 各居住民ハ本官又ハ部下指揮官ノ公布スル総テノ命令ヲ敏速ニ遵守シ、本官下ノ米国軍ニ対シ敵対行動又ハ何事ヲ問ハズ日本軍ニ有利ナル援助ヲ為サズ、且不穏行為又ハ其ノ程度如何ヲ問ハズ治安ニ妨害ヲ及ボス行動ニ出ツ可カラズ。

四 本官ノ職権行使上其必要ヲ生ゼザル限リ居住民ノ風習並ニ財産権ヲ尊重シ、現行法規ノ施行ヲ持続ス。

五 爾今総テノ日本裁判所ノ司法権ヲ停止ス。但シ追テノ命令アル迄、該地方ニ於ケル軽犯者ニ対シ該地方警察官ニ依リテ行使サル即決裁判権ハ之ヲ継続スルモノトス。    
六 本官又ハ本官ノ命令ニ依リ解除サレタル者ヲ除ク総テノ官庁、市庁、及町村又ハ他ノ公共事業関係者並ニ雇傭人ハ本官又ハ特定サレタル米国軍士官ノ命令ノ下ニ其職務ニ従事ス可シ。                           

七 占領軍ノ命令ニ服従シ平穏ヲ保ツ限リ居住民ニ対シ戦時必要以上ノ干渉ヲ加ヘザルモノトス。

八 爾今、布告、規則並ニ命令ハ本官又ハ本官ヲ代理スル官憲ニ依リ逐次発表サレ之ニ依リ居住民ニ対スル我要求又ハ禁止事項ヲ明記シ、各警察署並ニ部落ニ掲示サル可シ。

九 本官又ハ本官ヲ代理スル官憲ニ依リ発布サレタル本布告、他ノ布告並ニ命令又ハ法規等ニ於テ英文ト其他ノ訳文ノ間ニ矛盾又ハ不明ノ点生シタル場合ハ英文ヲ以テ本体トス。


ニミッツ布告「米国海軍軍政府布告第1号」 [口語訳]

米国軍が占領した南西諸島及びその近海の居住民に告げる

日本帝国の侵略主義並びに米国に対する攻撃のため、米国は日本に対して戦争を遂行する必要が生じた。かつ、これら諸島の軍事的占領及び軍政の施行は、我が軍の戦略の遂行上並びに日本の侵略力を破壊し、日本帝国を統括する軍閥を破滅させる上で必要なことである。

治安維持及び米国軍並びに居住民の安寧福祉を確保する上で、占領下の南西諸島中本島及び他島並びにその近海に軍政府の設立を必要とする。

ゆえに、本官、すなわち、米国太平洋艦隊及び太平洋区域司令官兼米国軍占領下の南西諸島及びその近海の軍政府総長である、米国海軍元帥シー・ダブリュー・ニミッツはここに次のように布告する。

一 南西諸島及び近海並びにその居住民に関するすべての政治及び管轄権並びに最高行政責任は、占領軍司令官兼軍政府総長、米国海軍元帥である本官の権能に帰属し、本官の監督下に部下指揮官によって行使される。

二 日本帝国政府の全ての行使権の行使を停止する。

三 各居住民は、本官又は部下指揮官の公布するすべての命令を敏速に遵守し、本官下の米国軍に対して敵対行動又は何事を問わず日本軍に有利な援助をせず、且つ不穏行為又はその程度如何を問わず治安に妨害を及ぼす行動に出てはならない。

四 本官の職権行使上その必要がない限り居住民の風習並びに財産権を尊重し、現行法規の施行を持続する。

五 今後、すべての日本の裁判所の司法権を停止する。ただし、今後命令があるまで、当該地方における軽犯罪者に対し、当該地方警察官によって行使される即決裁判権は持続する。

六 本官または本官の命令によって解除された者を除く全ての官庁、市庁、及び町村又は他の公共事業関係者並びに雇用人は本官又は特定された米国軍士官の命令の下にその職務に従事しなければならない。

七 占領軍の命令に服従し、平穏を保つ限り居住民に対して戦時必要以上の干渉をしない。

八 今後、布告、規則並びに命令は、本官又は本官を代理する官憲によって逐次発表され、これによって居住民に対する我が要求又は禁止事項を明記し、各警察署並びに部落に掲示される。

九 本官又は本官を代理する官憲によって発布された本布告、他の布告並びに命令又は法規等において、英文とその他の訳文の間に矛盾又は不明の点が生じた時は、英文をもって本体とする。

戻るトップへ