戦争と平和の意識調査(親子)

           ※実施 前回(199△年6月)今回(199△年7月)    
               実施対象 〇〇中学校生徒と保護者




[考察]                                   
 昨年、二年生が比較的高い率で回答をしているのが特徴的であった。
    「慰霊の日」特設授業を前にして全校的に数々の事前学習をいれたが、その中で、二年生は、社会科の授業で「沖縄戦」を導入した結果が数値に表れていると考えられる。

 昨年に比べて「知っている」生徒の割合が減った。その原因として考えられることは、学年別に見た時、一年生の「知らない」が極端に多かったこと、また、今年度は事前学習においても、去年に比べて取組を減らしたこと、さらにマスコミも前後50年という去年に比べて報道が激減したことなどが上げられる。

 このことは、継続的、計画的な学習を進めていかなければ「戦争」の認識が「風化」していくことを物語っている。なお、このような傾向は、以下「沖縄戦」関係の項目のいくつかについても同様な傾向を示した。
 一方、父母の場合も同様「知っている」ことが去年に比べて10ポイント減っている。



 [考察] 
  沖縄戦の死亡者については、逆に「知っている」と答えた生徒が激増した。このことは昨年校区内の摩文仁に建立された「平和の礎」によることが多いと考えられる。「平和の礎」はかなり強烈に報道されつづけてきた。このことが生徒の意識に大きく左右していると思われる。

    それを示しているのが、死亡者数を「23万人」と答えた人も相当数いたことである。沖縄戦の戦没者数は公式には「20万人余」となっているが、「平和の礎」の刻名者数は23万人余となっている。この数字が沖縄戦戦没者数として強く印象づけられただろう。

 一方、父母は去年と差異はなかったが、「無回答」が12ポイントも増えた。父母の場合も、「23万人余」と答えた人が多かった。それが「無回答」につながったと考えられる。



 [考察] 
 「3か月」がその内容だが、このことはマスコミ等でも報道されることはなく、沖縄戦の学習でもあまり触れられることは少ないので、約4分の1の生徒しか分かっていない。
 父母は、問3と同様差異はなく、「無回答」が10ポイント増えている。これも問3と同様、「6か月」とした回答者も多く、判断の迷いが「無回答」の増加となったと考えられる。



 [考察] 
 沖縄戦の終焉は 6月23日となっているが、まだ限定できない日である。
 沖縄守備軍の組織的抵抗終了(6/19)。牛島司令官自決(6/23)。 これも22日説が存在するし、一方、米軍の掃討戦は続いていて、米軍が沖縄作戦終了を宣言したのは7月2日である。また、琉球列島守備軍降伏文書に調印(9/5) の関係日もあり、 6月23日をもって沖縄戦終結の日と限定できる根拠は何もない。「慰霊の日」が一人歩きし沖縄戦の終焉日となっている。その点をどう生徒に伝えていくのかが課題として残る。

    調査の結果は、戦後50周年の去年に比べて、今年はかなり激減して、問1・2で考察したことと同様のことが言えよう。ただ、この場合、 2年生だけが「知らない」と答えた生徒が「知っている」と答えた生徒よりも多かった。
 一方、父母は去年と差異がなく、6 ・23は大人の世界では定着しているのだろうか。 



 [考察] 
  傾向としては似ているが、「ほとんど知らない」と答えた生徒が前回の約二倍の五分の一になっていることは問題と言えよう。学年が下るにつれてその数は増えている。ここでもやはり継続的に学習を入れていかなければならない、と考える。マスコミ報道の影響も大きく受けている。

    一方、父母の場合はほとんど差異なく、「よく知っている」が 5ポイント減り、「無回答」が 4ポイント増えている。マスコミの影響だろうか。なお、調査に対して当時の状況(ひめゆり学徒隊)を詳しく書いてくれた保護者がいました。ありがとうございました。

    なお、この関連で「沖縄戦での住民の被害で最も多かったのは何ですか」という設問である。データー不備で掲載しなかったが、その回答で最も多かったのは「集団自決」であった。実際はもちろんそうではなく戦闘行為による直接砲撃による被害が最も多い。「集団自決」はそれほどに沖縄の人々にとってショッキングな出来事である。単純な戦争の犠牲とは違う異常性をも強いられた「沖縄戦」であったことは生徒たちにも十分理解されていると見る。


 [考察]
  情報源として「教師」の項目もやや高い数値を示しているが、学校での平和学習の効果が大きいことを物語っていよう。去年に比べて人数が減っている原因は、前にも述べたように取組みが弱かったことによるものと考えられる。

 平和教育の取組みで、後世につたえていく方法としては、個人個人の口伝えよりも、本や視聴覚の方に力があることを示している。そのことに注目すべきであろう。

 一方、父母の場合は全体として、情報の獲得源は定着しているようだ。ただ、大きな違いは生徒と違ってもっとも多かったのは「両親」であることが印象的である。両親から受け継いだ現在の大人が、間接体験として沖縄戦をどう次の世代に伝えていくのか、課題は大きい。



 [考察] 
  犠牲者について「わからない」と答えた生徒が半数近くもおり、家族や身内にあった戦争体験については、大人は知っていても語れなくなってきているのでは、と危惧する。「風化」の一つとも考えられる。なお、犠牲者で多かったのは、生徒から見て「祖父」で次に祖父の兄弟など男性が多かったことは特徴的であった。

 一方、父母の場合、ここでもやはり「いる」と答えた人の割合が多くなっていて、世代の違いを特徴づけている。ただ「わからない」も 4ポイント増えているのが気になる。



    [考察]
    太平洋戦争に関しての知識が、三年女子について特にめだって低率を示している。 その原因については考察できない。それに比べて二年生が比較的高率を示しているのは、前述した事前学習の成果の表れだろう。




 [考察] 
  原爆投下を「知っている」と答えた生徒が今回も圧倒的に多かった。いかに「沖縄戦」よりも、「ヒロシマ・ナガサキ」が生徒の目に触れているかが分かる。沖縄戦は意図的に教育課程に入れていかないと生徒にとって学習(授業)の機会がない(教科書検定の煽りを受けてその傾向は悪化している)。それに比べて「原爆」は小学校6年生と中学校3年生で社会科の中で学習される。そのことを私たち沖縄の教師は肝に銘じておきたい。

 細かくみると、「ナガサキ」よりも「ヒロシマ」の方が回答数は多かった。読み物、マンガ、マスコミ等で「ヒロシマ」が量的に多いことと関係しているのだろう。     
  一方、父母の方も、生徒と同様の傾向を示していることは、「原爆」の認識が大方定着していると言えよう。




 [考察]                              
   同じ傾向を示しいるが、「戦争放棄」と「民主主義」「国際友好」が増えていることは好ましい傾向と言えよう。
 一方、父母についても、生徒同様の傾向である。



 [考察] 
  「憲法九条」については、全体として「知っている」が増えたが、その内訳は三年生が高く。二年生よりも一年生が高い。三年生は憲法についての学習をしているし、一年生は小学校六年生の学習の記憶が二年生より強いということだろうか。

 一方、父母については、去年との差異はないが、生徒に比べて「知っている」が多いのは当然と言えよう。「無回答」が多いのが気になることである(14ポイント) 。




    [考察]
    戦争に対する不安感は、その時の状況によって変化するが、現在は「平和」が強く意識されていることの表れか。国際関係を敏感に影響する項目である。ただ、戦争の不安原因が軍事基地や軍事施設にあることを敏感に反応しているのは沖縄の特徴だろうか。沖縄戦の教訓の一つである「軍隊は住民を守らない」を今後も伝えていくことを痛感する。



 [考察]2 
  去年に比べて約二倍以上の生徒が「知っている」と答えている。米軍による事件 ・事故のニュースの影響が大きいと思われる。このことは、マスコミが「米軍による少女暴行事件」以来、とりあげてきた問題である。そのことが大きく生徒の意識に影響を与えていることは容易に判断できる。
 一方、父母については、生徒と逆に「知っている」が若干減っていることが気になる。





 [考察] 
   「縮小 ・返還」が67%で大きく増加している。このこともマスコミ報道の影響が考えられる。また、県民投票に対する自治体の取組みや情報宣伝の影響も考えられる。中学生では判断に困難な面もあったが、関心が高くなったことは否定できない。しかし、このことも「沖縄戦」での考察同様、マスコミによる意識動向は定着することはないことを考えるならば、教育の現場できちんと学習の機会を与える必要性を痛感する。
 一方、父母の場合も生徒と同様の傾向を示している。

 総じて、米軍基地に対する意識や知識については、あまりもっていないことがわかる。そして、その基地が何のためにあるのか、ということに対しては自国であれ同盟国であれ「防衛」が多い。ただ、保護者には意見の分かれが見られた。





 [考察]
  自衛隊には、「日本を守る」「災害救助」のためと一般化された認識があるが、「阪神大震災後」の報道などマスコミの報道によることが大きい。最近、PKOの報道が盛んになされているが、それに合わせるかのように「他国を助ける」が増えていることからも分かる。

   しかし、「守る」観念は、生徒(父母)にとっては極めて表層的な意識でしかない。したがって、「何から守るか」「何を守るか」「どのように守るか」という根源的な疑問をぶっつけると、生徒の反応は変わってくる。つまり、軍隊は「仮想敵国」を想定し「合法的」に「人殺し訓練」をする集団であることが認識されるのである。また、沖縄戦の体験から「軍隊は決して住民を守らない」ことをもっと生徒に教えていく必要性を感じる。この二つの原則が軍隊を教えるポイントである。

 一方、父母の場合、生徒とは逆に「日本を守る」が20ポイントも減り、「災害救助」が大幅に増えている。PKO問題に絡んで報道される「海外派兵」問題をきっかけにした危機意識が関心を高くしていったのだろうか。



 [考察] 
   「あった方がいい」が10ポイント増えて、「ない方がいい」が25ポイント減っている。前問との関連でうなづける結果だが、その背景は前問で考察したことと合致する。また、米軍基地の「縮小・返還」との対応で増えたとも考えられ、一種のナショナリズム的反応とは言えないだろうか。このことは父母の場合も大差ない。「わからない」が多い(約三分の一)のも生徒と同様の傾向を示している。ここでも「無回答」が多いのが気になることである。沖縄戦体験と重ね合わせた場合の自衛隊(軍隊)に対するジレンマの表れだと見るべきか。
    
    米軍基地であれ、自衛隊基地であれ、それが軍隊の訓練基地であることに違いない。軍隊の本質とは何か、をきちっと学習させることは必要である。軍隊は攻撃であれ防衛であれ、その根底に「人間による人間の集団による公然たる殺人行為」が流れていることを認識させることは大切である。

  若い人たちの声の特徴として「沖縄戦は教えられたが、軍事基地については教わらなかった」が多かった。この声は、「米兵による少女暴行事件」 後、特に多くなったことを教師は受け止めなければならない。



[考察]
 
 回答別にはここでは問えない。なぜなら成長段階によって、当然意識(将来的には思想)は変わっていって良いわけである。このことを前提にして、「国際紛争」を戦争の原因としてとらえた生徒が多いことは、戦争の認識としては妥当であると思う。しかも去年に比べ多くなり、「わからない」が減ったことは、高く評価できる。われわれの平和教育はこの項目の内容によってその成果が目に見えてきたと評価できよう。

 一方、父母の場合も生徒と同じ傾向を示している。ただ「人の心による」とした回答者が生徒より10ポイントも少ない。大人は子供よりも現実的に対応することを示している。同様なことは、「政府の政策」が10ポイント多いことによってももうなづける。

  戦争の原因の要因としてもっとも多かったのは、「人間の心」を問 うものであった。一方、保護者は「国際関係」や「政府の施策」に目を向けている。注目すべきは、1,2年生が「国際関係」を二位にあげていること。人間の心に目を向けた内面性と、客観的な要因としての軍隊・国際関係の二面性を、どう学習の場で生徒に与えていくのか、今後の平和学習の視点を示していると言えよう。まさに、戦争は「人間の心に宿る」とともに、「国家の政策の延長である」という二面をもつものである。平和を守ることもこの二面をおさえていくことが必要であろう。                   


[資料]
 生徒  年  組  男 ・女 /保護者  父・母・祖父・祖母・他(  )   
問1 あなたは、「沖縄戦」はいつごろあったか知っていますか。     
  ア はい(   年)        イ いいえ              
問2 あなたは、「沖縄戦」は主にどこが戦場だったか知っていますか。
   ア はい(         )   イ いいえ         
問3 あなたは、「沖縄戦」では全部で何人の人がなくなったか知っていますか。
   ア はい(約      人)    イ いいえ              
問4 あなたは、「沖縄戦」がどのくらいの期間続いたか知っていますか。
   ア はい(約    月間)     イ いいえ              
問5 あなたは、「沖縄戦」はいつ終わったか知っていますか。
   ア はい(  月  日)     イ いいえ     ウ 定まってない
問6 あなたは、「沖縄戦」のようすについて知っていますか。
   ア よく知っている   イ 少し知っている  ウ ほとんど知らない
   エ 全く知らない                             
問7 あなたは、「沖縄戦」のことを主に何で知りましたか。次からあてはまるものをすべて選んでください。
   ア両親 イ祖父母 ウ先生 エ本 オテレビ・映画など カ資料館など  キ自分の体験  クその他( )
問8 「一般住民」が亡くなった理由で、知っていることをすべて書いてください。 
   (                                   )
問9 あなたの家族(親戚)に、「沖縄戦」で亡くなった方がいますか。      
   ア いる(               ) イ いない  ウ わからない
問10 あなたは、「太平洋戦争」がいつ終わったか知っていますか。
   ア はい(    年  月  日)   イ いいえ
問11 あなたは、この戦争で人類初の原爆が落とされたのを知っていますか。
   ア はい    イ いいえ
問12 「はい」と答えた人は、その原爆がどこに落とされたか知っていますか。   
   ア はい(               ) イ いいえ
問13 あなたは、日本がこの戦争を起こしたわけは何だと思いますか。あてはまるも のをすべて選んでください。                  
   ア アメリカとの貿易がこじれたので起こした。             
   イ 日本が領土拡大をねらって起こした。                
   ウ アジアの人々を開放するために起こした。             
   エ もともと日本人は戦争が好きだったので起こした。
   オ アメリカなどからしかけられてやむなく起こした。         
   カ その他(                            )  
   キ わからない                              
問14 あなたは、この戦争が終わって日本が反省したことは次のうちどれだと思いますか。あてはまるものをすべて選んでください。       
      ア戦争は絶対しないこと イ軍備を強くすること ウ経済を強くすること
  エ教育を盛んにすること  オ貿易を盛んにすること カ民主主義を広 めること キ隣の国と仲良くすること クその他(   )  ケわからない
問15 あなたは、日本国憲法の第9条の内容を知っていますか。
   ア はい(              ) イ いいえ           
問16 あなたは、近い将来日本が戦争に巻き込まれるおそれがあると思いますか。  
  ア 強くそう思う  イ そう思う  ウ そうは思わない  エ わからない 
問17 「そう思う」と答えた人は、その理由を次から選んでください。   
  ア 軍事基地があるから  イ 自衛隊など軍備があるから  ウ なんとなく  エ 日米安保条約を結んでいるから   オ 他の人がそう言っているから  カ 世界情勢がそうなっているから  キ その他(   )
問18 あなたは、米軍の演習などによって起こる被害について知っていますか。知っ ていることをすべて書いてください。              
    ア はい(            ) イ いいえ
問19 あなたは、沖縄の米軍基地は何のためにあると思いますか。あてはまるものを すべて選んでください。
  ア 日本・沖縄を守る   イ アメリカを守る  ウ 他国を守る    エ 他国を攻める     オ その他(                ) 
問20 あなたは、沖縄の米軍基地は今後どうあればいいと思いますか。
   ア今のまま イ縮小する ウ返還する  エわからない  オその他(    )
問21 あなたは、自衛隊は何をするためにあると思いますか。あてはまるものをすべ て選んでください。
   ア 日本を守る  イ 他国を助ける  ウ 他国を攻める  エ 災害救助  オ その他(          )  カ わからない        
問22 あなたは、自衛隊を軍隊と思いますか。                
   ア そう思う  イ そうは思わない  ウ わからない
問23 あなたは、自衛隊は今後どうあればいいと思いますか。     
  ア今のまま イ縮小する ウない方がいい エわからない オその他(    )
問24 あなたは、平和と戦争についてどんな考えをもっていますか。あなたの考えに最も近いものを一つ選びなさい。                 
 ア 人間は戦う本能をもっているからこの地球上から戦争はなくならないと思う
 イ 政府の政策によって起こるから政治をきちんとすれば平和は守れると思う  ウ 軍隊が強くなると戦争が起こるから世界の軍隊をなくせばいいと思う
 エ 国際関係が悪くなると戦争は起こるから、世界の人々が仲良くすればいい
 オ 独裁者が出ると戦争が起こるので、民主主義の政治を徹底する
 カ 戦争は人の心から起こるから人の心を美しくすれば平和は守れると思う。  キ その他(                              )
                                
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