降伏勧告文

S・B・バックナー将軍から、牛島軍司令官に宛てた降伏勧告文が、第一線を通して送られてきた。
 到着、遅れて、三十二Aに着いたのは、六月十七日であった。牛島、長両将軍、之に目を通すも、一笑に付したと記されている。


第三十二軍司令官 牛島満中将閣下へ
    牛島将軍、貴下に敬意をこめて、この一書を呈します。貴下は歩兵戦術の大家にして、我々の尊敬を集めるに充分な、立派な戦をされました。私も貴下と同じ歩兵出身で、貴下が孤立無援の、此の島で果された役割と成果に、満腔の理解を持ち、かつ賞讃を惜しまぬもので有ります。
 然しながら、すでにこの島の飛行場は、自由に我々の、使用する所となりました。この上貴下が、戦闘を継続して前途ある青年たちを、絶望的な死に追いやる事は、甚だ意義のない無益な事と私は信じます。私は人格高潔な指揮官である貴下に対し、速かに戦をやめ部下の生命を、救助せられる事を勧告します。明十二日、マブニ海岸沖の軍艦上に我が方の軍使を待期させます。貴軍に於かれても、軍使五名を選び、白旗を持って、同地海岸に差し出される様、切に望みます。
 米軍上陸軍司令官 シモン、バックナー中将より
           昭和二十年六月十一日

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